7 もっと住まいを知る 素材・木のこだわり

土地の木で、風土に合った木造の家づくり

建物の構造は、大きくは木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などに分けられています。
創伸では一貫して木造の家づくりをしています。木造の家づくりにおいて、木は一番大切な素材です。どんなに腕のいいシェフでも活きのよくない魚では一流の料理が作れないように、木造建築では、木を見極める眼力が問われます。また、鳥取県で家を建てるときは鳥取の木を、島根県で建てるときは島根の木をとできるだけ「地産地消」を基本としているのは、土地の風土に合った家づくりを心がけているからです。そのことが、山の循環にもつながります。風土とは、字のごとく風の吹き方や湿度、地形、加えて土地に伝わってきた歴史や文化なども含みます。地元で育った木はそのすべてを受け入れて、日々、その土地で気持ちよく暮らすことができるよう調整してくれる力があるのです。

国産の木、地元の山の木が使用されにくい現状

山陰の気候は、昔から建築に向いた杉や松の生育に合っています。ところが、戦後の高度経済成長の頃からは、木材を海外からの輸入に頼っています。家を支える一番大切な木材を海外に頼っているのはなぜなのか、国産の木を山から切り出さないのはなぜなのか。
簡単に言えば、海外から輸入したほうが安いという価格の問題、そして林業従事者の減少によって山の管理ができていないという問題があるのです。海外の木材と同じように日本の木材が規格化したことにより、大工棟梁が山で木を見極め、適材適所に使うという昔から伝わる知恵や技術が失われてしまいました。規格化された木材を取り付けるだけの大工が多くなり、地元の山の木が使用されなくなった結果、山が放置され循環は途絶えていきました。それに、規格化された木材ばかりを使用した家はなんだか面白みに欠けるような気がしませんか?

地元の木を山買い、丸太買いする理由

法隆寺の宮大工の棟梁は、「木を買わずに山を買え」と言葉を残しています。野菜に収穫時期があるように、木にも切るのに最適な時期というものがあります。創伸は、木の生育環境やいつ・誰が・どこで切ったのかが分かるので、⼭や⽊材市場から原木の状態で木を買います。どんな木を使っているのかを分かっているということは、お客さまとの信頼関係においても、重要なことだと思っています。現在、住宅業界では木材の購入を製材所にお任せするのが一般的になっています。でも実は、木は仕入れた角材を見ても伐採時期や樹齢何年の木だったのかの判断はプロでも難しいです。というのも、柱になった後の木材は、樹齢30年でも、樹齢100年でも同じように見えてしまうからです。だからこそ私たちは、木を買う時には自分の目で見て買うことにしています。ゆくゆくは木を買わずに、山を買いたいと思っています。

木を生かすために欠かせない素材の吟味

山の木を見るとき、まずはその山の特徴を見ることにしています。風の向きや強さ、風通し、どんな土壌なのか。いろいろな条件の下で木が生えているので、生育環境を見極めます。次に木ですが、30年で直径が30センチになった木と、100年で30センチになった木では、100年かけて育ったほうが年輪が詰まっていて強度があります。日本の古民家では、曲がった木が梁に使われていることが多くあります。昔の大工たちは、近くの山に生えている個性豊かな木を見て、どう使うのかを考えてきたのでしょう。そんな木を見極める眼力を生かした古民家は、自然な美しさ、心地よさを与え、何より建物で重要な耐久性があります。このように、木を吟味しながら、ここで生えた杉は柱に使おうとか、ここの木はフローリングにしよう、とびらに使おうと選定することが木造建築の醍醐味で、新しく建てる木の家でも、そうあるべきだと思っています。

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