近年、家づくりで当たり前になりつつある「冬暖かい家」。
断熱や気密の性能が上がり、冬の寒さがつらくない住まいが広がってきました。
一方で、日本の気候は大きく変わりつつあります。
昨年の夏は全国平均気温が観測史上、最も暑い夏でした。一般的に「夏」というと6〜8月ごろを思い浮かべる方も多いかと思いますが、5月〜10月まで気温30度を超える日が続いていました。
外で遊びたい子どもたちも、送り迎えをする大人も、暑さが生活に影響する場面が増えてきています。
こうした変化のなかで、これからの家づくりでは「夏をどう快適に過ごせるか」という視点が、よりいっそう重要になっています。
高断熱の家でも「夏が暑い」と感じる理由
住宅業界の専門誌による調査では、高断熱の家に住む人の中でも「夏はエアコンの効きが悪い」「想像より暑かった」といった声が少なくないと報告されました。
冬の場合、断熱性能を高めることで一定の改善が見込めますが、夏はそれだけでは快適性につながりにくい特徴があります。
外の熱を入れない工夫や、家の中の空気の流れなど、複数の要素を組み合わせる必要があるためです。
夏の快適さをつくるために大切なこと
夏を心地よくすごすためには、次のような視点が鍵になります。
⚫︎ 断熱材そのものの質
数値の良さだけではなく、湿気をにがしやすいか、長い年月を経ても性能が落ちにくいかといった、素材そのものの特徴が涼しさに影響します。
⚫︎ 日射を防ぐ工夫
軒や庇、窓の位置、外付けのブラインドなどで日射を遮ることは、家の暑さを抑える大切なポイントです。
これがうまく計画されていないと、断熱性能が高い家ほど熱が逃げにくく、かえって夏の暮らしがつらくなることもあります。
⚫︎ 風の通り道と換気
機械設備だけに頼らず、自然に空気が動く仕組みがあると、家の中の空気がこもりにくくなります。
子どもが寝る時間帯の過ごしやすさにもつながります。
長く続く素材が、未来の涼しさを守る
家は建てた直後がもっとも良い状態だと言われます。
だからこそ、その良さを長く保てる素材を選ぶことが、これからの家づくりでは大切です。
透湿性の高い断熱材など、湿気を通し劣化しにくい素材は、年々厳しくなる夏を見据えて考えたい部分です。
実際、こうした素材を使った住まいでは、夏でも空気がカラッとしており、エアコンを控えめにつけても過ごしやすいという声もあります。
夏が長い時代の、子育て世帯の暮らしを守る家
共働きで毎日忙しいご家庭では、日中留守にしている時間も多く、家の中がどれだけ暑くなるかは気になる部分です。
子どもが汗だくで帰ってきたときにほっとできる家であること、夜しっかり眠れる温度が保てること。
そうした日常の積み重ねが、暮らしの快適さを大きく左右します。
「冬にあたたかい家」が当たり前になった今、次に目を向けたいのは、夏をどう心地よくするか。
長く続く暑さに向き合いながら、家族が自然に健やかに過ごせる住まいを考えていくことが、これからの家づくりの大切なテーマになりそうです。