鳥取県は、山と海に囲まれた自然豊かな県です。
わざわざ絶景を見に出かけなくても、道を走ると広がる日本海の美しさに癒され、仕事終わりにみる夕焼けを思わず写真に残したくなり、冬の晴れ間に白くなった大山に威厳を感じられる場所です。
そんな土地で家を建てているから、わたしたちは、単に設備に頼る(電気やガス等のエネルギーに依存し過ぎる)のではなく、『建築で、夏の暑さをやわらげ、冬でものびのびとできる住まいをつくり続けることが大切』と考え、日々実践しています。
家のつくりやうは、夏をむねとすべし。
・・・暑きころわろき住居は、堪へ難き事なり。
こちらは、『徒然草』で綴られている、日本の住文化に関する一文です。
湿度の高い日本では、古くから〝夏を過ごしやすいように、住まいはつくるべき〟とされていました。
実際に伝統的な日本家屋は、風が通りぬけるように開放的な間取りでつくられ、日射しを遮るために軒の深さも計算されています。
調湿性の高い木材が用いられているのも、一つの工夫と言えるでしょう。
ビルに囲まれ空が狭い都会で建てる家と、雄大な自然のある地方で建てる家は一緒ではないはず。
だからこそ、昨今は軽視されがちな先人の知恵を生かして家づくりをしています。
その土地に立って
「太陽の動きを確かめ、家を配置する」
「窓の取り方と、植栽の関わりを考える」
「光と風の流れを、読む」
「素材を工夫する」・・・など
自然の声に耳をかたむけ、五感で心地さを感じられる住まいをつくり
その住まいが、人として大切な感覚や感性を育む器であり続けたいと、考えています。